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曲ができてから配信されるまで:TOKYO POP STUDIOのリリースの舞台裏

AI音楽

曲が「完成」してから、みなさんに届くまで

曲が完成してから配信されるまでの工程を示すシンプルな横長のフローチャート図

TOKYO POP STUDIOでは、作詞やコード進行といった土台の部分を人が作り、そこにAI(人工知能)がメロディーやアレンジの候補を生み出していく、という形で曲を作っています。何度も候補を出し、絞り込み、歌詞を調整しながら試聴を重ねて、ようやく「これだ」という一曲にたどり着きます。この曲づくり自体のプロセスについては、また別の記事で詳しくお話ししたいと思っていますので、今日は少し先の話をさせてください。

実は、曲そのものが完成しても、その日にすぐ配信が始まるわけではありません。音源が決まったあとにも、リスナーのみなさんの目や耳に触れないところで、いくつもの工程が続いています。ジャケットを用意し、SNSやYouTubeで流す短い動画を作り、音質を整え、歌詞のタイミングを合わせて申請する。地味な作業に見えるかもしれませんが、どれも一つの曲を世に送り出すために欠かせないステップです。今回は、曲が「決定」したあとに何が起きているのか、その舞台裏をご紹介します。

ジャケットと「音のない映像」をつくる

AIでアートワークを生み出す

曲の方向性が固まると、次にジャケットの制作に入ります。TOKYO POP STUDIOでは、所属アーティストの姿を使ったジャケットをAIで生成しています。曲の世界観やアーティストの雰囲気に合わせて、何度も試しながら一枚の絵にしていく作業です。

ジャケットは、Spotifyや Apple Musicなどの配信サービスで曲が並んだときに、リスナーの目に最初に入る「顔」のような存在です。曲の雰囲気を一瞬で伝えられるかどうかは、ジャケットの出来にかなり左右されます。ジャケットは曲の第一印象を左右する大切な要素なのです。

一般的に、配信サービスに掲載されるジャケット画像は正方形(1:1)で登録することが多く、スマートフォンの小さなサムネイルでも一目で雰囲気が伝わるかどうかが重視されると言われています。文字を大きく使いすぎない、色のコントラストをはっきりさせる、遠目からでもアーティストの表情や世界観が伝わる構図にする——こうした点は、AIでジャケットを作る場合にも人の手で作る場合にも変わらないポイントだとされています。

短いクリップで世界観を伝える

短い動画クリップの編集タイムラインを操作する手元のイメージ

ジャケットと並んで欠かせないのが、曲の短いクリップです。TOKYO POP STUDIOでは、複数のAIを使って曲のショートクリップを生成し、それを動画編集ソフトでまとめてYouTubeショートを作成しています。

数十秒という短い時間の中に、曲の一番魅力的な部分と、アーティストの世界観を凝縮して届ける。これは音楽そのものを作る作業とは少し違った、映像的な視点が必要になる工程です。一般的に、こうした短尺の動画は、曲を聴いたことがない人が「どんな曲だろう」と興味を持つきっかけになると言われています。私たちにとっても、まだ聴いてくれていない方に曲の空気感を届ける、大切な入り口の一つです。

一般的に、YouTubeショートやTikTokなどの短尺動画は縦型(9:16)の画面比率で作られることが多く、曲の中でもとりわけ耳に残るフレーズやサビの部分を冒頭に持ってくると、最後まで見てもらいやすくなると言われています。また、最初の数秒で視聴者の関心を引けるかどうかが再生の継続率を大きく左右するとも言われており、短い時間の中でどこを切り取るかは、動画制作における重要な判断のひとつです。

配信の前に済ませておくこと

音質を整える

ジャケットと映像が形になる一方で、音源そのものにもまだ手を加える工程が残っています。TOKYO POP STUDIOでは、完成した曲をハイレゾ音質にアップコンバートしています。ハイレゾとは、CDよりも情報量の多い、細やかな音の再現ができる音質のことです。

配信サービスによっては、ハイレゾ対応の音源をより良い形でリスナーに届けられる仕組みが用意されています。ハイレゾ化は、できるだけ良い音でお届けするための工程です。

ハイレゾ音源は、一般的にCD音質(44.1kHz/16bit)を上回るサンプリングレートやビット深度を持つ音源を指すことが多く、より細かい音の強弱や、楽器・声の余韻までも再現しやすいと言われています。TOKYO POP STUDIOでは、最大でロスレス24bitでの配信を行っています。ただし、その違いをしっかり感じるためには、対応したイヤホンやスピーカー、再生アプリなど、リスナー側の再生環境も影響してきます。すべてのリスナーがその違いを聴き分けられるわけではありませんが、良い音を届けるための土台として、多くの音楽制作の現場で重視されているポイントです。

歌詞をタイミングに合わせる

歌詞の表示タイミングを音声波形に合わせて編集する手元のイメージ

もう一つ、地味だけれど欠かせないのが「同期歌詞」の準備です。同期歌詞とは、曲の再生に合わせて歌詞が画面に表示される、いわゆるカラオケのような字幕データのことです。最近では、Spotifyなど多くの配信サービスで、この同期歌詞の表示に対応しています。

TOKYO POP STUDIOでは、リリース日までに同期歌詞を作成し、申請する作業を行っています。一文字一文字のタイミングを曲に合わせて調整していく、決して華やかではない作業ですが、リスナーが曲の言葉をより深く感じ取れるようにするための、大切な準備の一つです。

同期歌詞は、曲を聴きながら歌詞を目で追いたいリスナーや、外国語の曲の意味を掴みたいリスナーにとって助けになるほか、周囲の音が大きい環境で音を出さずに歌詞を確認したいときにも役立つと言われています。表示のタイミングは、単語の区切りだけでなく、息継ぎや母音の伸ばし方といった歌い方のニュアンスに合わせて調整されることが多く、機械的に文字を割り振るだけでは不自然に感じられてしまうこともあるようです。

こうしてジャケット、ショートクリップ、ハイレゾ化、同期歌詞という工程を経て、私たちは曲をディストリビューター(配信代行を行う会社)にアップロードします。ここから審査や配信サービスへの反映の時間が必要になるため、曲が完成してから実際にリリースされるまでには、約1〜2週間ほどかかります。

リリースの日を待つ、という時間

曲が「完成」したときの喜びは、もちろん大きなものです。でも、そこからリリースまでの1〜2週間は、静かに、そして地味に作業が積み重ねられていく時間でもあります。ジャケットの色合いを何度も見直したり、ショートクリップの数秒の間合いを調整したり、歌詞の表示タイミングをコツコツと合わせていったり。曲そのものの完成度とはまた別の場所で、「どう届けるか」を考え続ける時間です。

リリースを待つ期間は、多くの制作現場にとって特別な時間だと言われます。完成したはずの曲が、まだ誰にも聴かれていない。その静かな数日間を経て、ようやくリリースの日を迎えます。

音楽業界では、配信開始日の数週間前までに音源や情報を登録しておくことで、プレイリストの選定などを行う担当者に曲を見てもらえる可能性が高まるとされています。TOKYO POP STUDIOに限らず、多くのアーティストやレーベルが、リリース日の少し前から準備を進めているのは、こうした事情も背景にあるようです。

もし次にTOKYO POP STUDIOの新曲を聴くタイミングがあったら、その一曲の後ろに、ジャケットを選ぶ時間や、短い映像を編みあげる作業、そして地味だけれど丁寧に進められた音質調整や歌詞のタイミング合わせがあったことを、少しだけ思い出していただけたら嬉しいです。同じ曲でも、届くまでの道のりを知ると、少し違った角度から聴こえてくるかもしれません。私たちも、そんな気持ちで一曲一曲をお届けしています。

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